2. 各指標への重要度に応じたウエイト付け
なぜウエイト付けが必要か?
8つの指標を単純に用いるだけでは十分とは言えません。なぜならばこれらの指標が常に均一的に有効性を示すわけではないからです。
当社ではより効率的な銘柄選択を行うため、投資時点での投資環境分析に基づき、各指標に対して重要性に応じたウエイト付けを行っています。
ウエイト付けのプロセスは?
ウエイト付けのための分析は、各指標の直近における有効性の変化を定量的に捉えることに重きが置かれますが、各指標の信頼性を把握するために、企業業績動向、市場の求めているテーマ性といった定性的な観点からも分析し、検討いたします。これらのプロセスは、年金に代表される機関投資家のファンド運用と同様のレベルで行われます。
ウエイト付けの有効性は証明されているか
この手法の過去における有効性の実証結果につきましては、次ページ「有効性の検証」で確認します。
ウエイト付けが有効性を示した過去の具体事例は?
(事例1) 企業の倒産リスクが高まっている時期は・・【PER】
倒産リスクが高まっている時は全般的に割安指標の有効性が低くなりますが、中でも低PBRの有効性は顕著に低下します。これは、市場がより高品質への銘柄の投資を選好するためです。PBRが1倍割れのような銘柄には収益が低迷している、いわゆるボロ株が多く、極端に売りたたかれることがあります。山一證券の廃業、長銀、日債銀の国有化があった1997〜1998年の相場がこの展開でした。この様な環境の時には、PERに代表される利益から見た割安指標を重視し、かつ、その他健全性を示す財務指標からのチェックすることも怠れません。
(事例2) 企業の会計処理に特殊な要因があると・・【EBITDA倍率】
例えばここ数年は多くの企業がリストラを積極的に実施し、また不動産の含み損等を特別損失として処理してきました。そうしますと、最終利益ベースで求められるPERには一時的な損失等が反映され、本来の企業の利益実態を反映していないというになります。このような時期ではPERは信頼性が低下することになり、同じ利益系の割安指標でも、営業利益ベースに計算されるEBITDAといった指標の方がより重視されることになります。当社では様ざまな環境に対応できるよう利益系の割安指標として4種類の指標を採用しています。
(事例3) 会計制度の変更による影響は・・【PBR】
会計制度の変更といったことにも留意する必要があります。例えば、以前は簿価ベースのため資産の含み損が反映されていませんでしたが、最近では時価主義という考え方が一般的になりつつあります。このような中では、PBRという指標の信頼性が以前より高まってくることも想定しておく必要があります。
(事例4) 金利水準の変化による影響は・・【配当利回り】
配当利回りは割安指標の代表格ですが、これは市場の預貯金金利水準との対比で注目度が変化します。異常な低金利が続いている環境では注目されますが、今後は景気の回復傾向を受け、金利は上昇傾向になることが予想されますので、注意を要します。
(その他)この他、市場全体の過熱感との兼ね合いで株価変化率等の重要度も変化します。いずれにせよ、1つの指標だけで割安度を恒常的に捉えるには無理があると言えるでしょう。
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